成之が若君に花を渡した本当の理由(3話)

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アシガール3話。

成之が源三郎を通して若君に花を渡し、野上衆と高山の動きを若君に知らせます。

 若君「兄上から花が届いたと?」
 小平太「これを。先ほど、人目を避けるように源三郎に託したと」
(回想)成之「忠清様に。高山のヤマボウシでございます」
 若君「高山のヤマボウシ...」
 小平太「しかしおかしなヤマボウシですな。枝先の皮が剥がれ、
     全てむき出しになっています」
(回想)成之「皮の剥がれた木を目印に、野上衆が深追いをするのでございます」

このあと、若君は、野上衆が高山に戦を仕掛けることを知ります。

この成之の行動に、戦の後、天野信茂は、

 「若君に礼を尽くしたものかと」

と、殿に告げますが、本当にそういう意味だったのでしょうか。

個人的な見解ですが、これは成之が自分のことを(若君に協力していると)信じさせるための罠、あるいは若君を戦場(総大将としてはこれが初めて)に立たせるための罠だったのではないでしょうか。

その根拠ですが、この花を渡す場面の直前のシーンで、唯の助とおふくろ様の次のような会話があります。

 おふくろ様「村は一心同体じゃ。己だけ生き延びてもダメなのです。
 とどのつまり、飢えるのは自分じゃ」
 唯之助「だから分け合うのか。
     でもでもでも、みだりに米をみせたらおふくろ様を疑って
     誰かに言いつける人がで出てくるかもしれないじゃないですか」
 おふくろ様「それはあるまい」
 唯之助「何で?」
 おふくろ様「私を責めれば食べたものも同罪じゃ。己に都合の悪いことは皆もらすまい」
 唯之助「米を配ったのは口封じも兼ねてたと、ひえ~」
 おふくろ様「生き残るためには一手も二手も先を読まねばのう」

もし、この「一手も二手も先を読まねばのう」という台詞が、そのまま次の場面を暗示しているとしたら、どうでしょう?

若君はこの初めての総大将として戦に勝利しますが、この後、成之と如古坊の策略で、若君は1000対3000という、さらに厳しい状況の戦の場に立たされますよね。

つまり最初の戦は、次の戦に若君を総大将として立たせるための罠だったのではないかと。

だから、花を渡したのは、成之が一手も二手も先を読んだ行動だったのではないかと思えるわけです。