アシガール8話。
それまで羽木忠高から禁じられていた、若君の兄・成之が突然、軍議の場に出られるようになりました。
なぜ、出られるようになったのでしょうか。
その理由を考えてみました。
7話で、忠高が成之のところへ出向くシーンがありますよね。
このときのやり取り。
忠高「花を...立てておるそうじゃのう」
成之「ほかには、何もできませぬ。幼き頃より体が弱かったゆえ」
忠高「ほう、体が。病でも得てか?」
成之「毒を、盛られました」
忠高「毒。誰に?」
成之「さあ?なにぶん幼き頃の事ゆえ。
それ以来、身も弱り、静かに暮らしてまいりました。
荒事はこの身に合いませぬ。
若君様に一刻も早うお戻りいただきたいゆえんにございます」
忠高「そうか。いや、邪魔をしたのう」
このあと、忠高は持っていた扇子で成之に不意打ちをしかけると、成之は見事にかわします。
「荒事はこの身に合いませぬ」という、成之の言葉が嘘であったことが、忠高に知られてしまいます。
ただ、忠高にとって、成之の言葉が嘘か本当かはともかく、成之は剣の腕前がかなり立つことを知ったわけです。
また、成之が毒を盛られたことを、忠高は自分が仕組んだ罠と、成之に恨まれていると感じたのでしょう。
恨んでいるからこそ、嘘をついたのだろうと、忠高には分かったはずです。
嘘であることを確信するために、あの不意打ちがあったのでしょう。
忠高が毒を盛っていないことは後に明らかになりますが、とはいえ忠高は、成之の(自分を恨んでいる)気持ちを、このとき初めて知るわけです。
そして、これが成之を軍議の場に参加させる大きなきっかけになったことは間違いありません。
つまり忠高は、成之から毒を盛られた話を聞いたことで、世継ぎ争いを避けるために、成之と久を城下から追い出してしまったことに責任を感じたはずです。
そこで、成之を軍議の場に参加させることで、成之に対して誠実な態度を示そうとしたのかもしれません。
以前、若君から兄上の軍議参加の申し出は簡単に断ってましたから、そのときの態度から考えても、成之の毒を盛られた話は、忠高にとっては心が揺さぶられる思いだったのでしょう。
さらに、野上と高山の件で若君に助言した経緯もあり、これが成之の後につなげる策略かどうかは別として、忠高から少なからず信頼は得ていたはずです。
若君かどわかしの罪で、成之が唯之助をはめようとする場面もありますが、総合して考えると、忠高としては、成之の聡明さや武術の腕前を認め、さらに父として成之に誠意を尽くした。
その結果、軍議の場への参加が認められた、と捉えるのが妥当な気がします。
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